口腔乾燥症について
こんにちは!札幌市豊平区にあります、さっぽろプロケア歯科クリニック
訪問部歯科衛生士の松本です。
訪問診療で様々な患者さんの様子をお伺いしていると、「お口が乾く」といった訴えをよく聞かれます。今回は唾液の分泌が低下する「口腔乾燥症」についてお伝えします。
成人では唾液は一日に約1.5ℓ分泌されています。それが何らかの異常で分泌量が低下することを口腔乾燥症と呼びます。
まず、唾液にはどんな働きがあるかをお伝えしましょう。
唾液は、主に耳下腺、顎下腺、舌下腺の三大唾液腺から分泌され、お口の中をきれいに保つ作用、抗菌作用、お口の中を中性に保つための緩衝作用があります。
さまざまな働きがある唾液ですが、分泌量が半分程度になると、口腔乾燥を自覚するようになると言われています。
口腔乾燥を訴える人のお口の中を拝見すると、白い泡状の唾液や糸を引いた唾液がよくみられます。
また、口の中の粘膜も乾燥し、ネバネバとしています。唾液には先述のように、さまざまな働きがありますから、口の中の環境悪化の原因となります。
では口腔乾燥症ではどのような症状が現れるでしょうか。
口腔乾燥症の自覚症状としては、お口の乾きのほか、舌がピリピリした感じ、味覚障害、咀嚼障害などがあります。
口腔乾燥症の原因としては、服薬による薬剤性の原因、全身性の原因、神経性の原因、加齢などの生理学的な要因があります。加齢による口腔乾燥症は、大唾液腺の萎縮によるものが多いとされています。
服薬による薬剤性では、抗コリン薬、降圧剤、抗パーキンソン薬などの薬剤による副作用が報告されています。全身性の原因としては、糖尿病、貧血、腎障害、シェーグレン症候群、サイコイドーシス、後天性免疫不全症候群などが挙げられます。神経性の口腔乾燥はストレスや抑うつと関連があると言われています。
また、放射線治療後や唾液腺腫瘍でも口腔乾燥がみられることがあります。
では、口腔乾燥を感じた場合どのように対処すれば良いでしょうか。
全身性の病気(糖尿病や貧血など)があり、原因がはっきりとしている場合には、原因となる病気の治療を積極的に行います。また、薬剤性の口腔乾燥と推測される場合には、主治医と相談の上、原因となっている薬剤の中止や減薬、あるいは副作用の少ない薬剤への変更を行います。
<原因療法>
シェーグレン症候群や放射線治療後、加齢など、原因の除去や治療が困難な場合には、その方の日常生活に合わせた口腔衛生指導や投薬を行います
<対症療法>
唾液には抗菌作用もありますから、口腔乾燥症の方には虫歯や歯周病の進行、また、自浄作用低下による義歯の汚れ、味蕾の萎縮、口内炎が見られることもあります。早めの対処が必要となります。
私たち歯科衛生士が行っている口腔衛生指導の中でも唾液の分泌を促すものが数多くあります。
保湿剤を含ませたスポンジブラシを使用しての舌や頬の内側のマッサージは、舌や頬に無数に点在している小唾液腺への刺激となります。
また、口腔ケアの中で行っている機能訓練では舌を出したり引っ込めたり左右に動かしたりと舌運動をすることで唾液の分泌を促しています。
また、三大唾液腺を手でマッサージすることにより、唾液腺を外から刺激しています。(優しく押す程度の圧力です。)
お口が乾いたな、と感じた時、舌運動や唾液腺マッサージはとても手軽にできるものです。
ぜひお試しください。それでもなかなか改善しない場合には、一度歯科をご受診下さい。
投稿者: