こんにちは、札幌市豊平区にありますさっぽろプロケア歯科クリニック 歯科衛生士の平井です。


妊娠中の女性から「歯磨きをすると出血するようになった」、「口臭が気になる」、「歯が痛くなった」などの声を耳にします。


妊娠中は様々な体調の変化がありますが、その中でも注意したいのが歯周病です。

歯周病とは、細菌感染によって炎症が起こることにより、歯ぐきや骨などの歯を支える組織が破壊されてしまう病気で、炎症が歯ぐきにとどまっている歯肉炎と、骨にまで広がった歯周炎の二つに分類されます。

 

妊娠中の女性に起こりやすい歯周炎は妊娠性歯肉炎と呼ばれ、妊婦さん特有の病気です。

妊娠中は、ホルモンバランスの変化だけでなく、つわりによる嗜好の変化や吐き気がひどくなることで食生活が不規則になったり、歯磨きが不十分になったりして、お口の中の環境が悪化しやすく、結果的に歯肉炎のリスクが高くなるのです。

 


●早産と低体重児出産


妊娠中に歯周病になって悪化してしまうと、影響を及ぼすのはお母さんの体だけではありません。

早産や低体重児出産のように、胎児や出産に悪影響を与える可能性があります。

早産は妊娠22週以降37週未満の分娩を、低体重児出産とは2500g未満の新生児の出産のことをいいますが、歯周病にかかっている妊婦さんは健康な妊婦さんに比べ7.5倍も早産・低体重児を出産する確率が高いといわれています。

通常は出産が近づくと、プロスタグランジンという物質が子宮で分泌されることによって、分娩が始まります。

しかし、歯周病により炎症が広がると、それを抑えようとしてプロスタグランジンが作られてしまうため、分娩時と同じように子宮の収縮が促されて、早産が引き起こされてしまうのです。

また、お母さんが歯周病に罹っている場合、お口の中の歯周病菌が血液の中に入り、産科器官にまで達し、そこで直接感染を引き起こします。


すると、早産だけでなく胎児の発育不全によって低体重児出産も多くなるといわれています。この早産・低体重児出産を起こしやすい要因としては喫煙や飲酒、年齢などがありますが、歯周病はそれらよりもはるかに高い数字になるため、お腹の赤ちゃんの正常な発育のためにも、歯周病を悪化させないように対策を行う必要があります。


●妊娠中の歯科治療


妊娠中はお口のトラブルが起きやすいですが、歯科治療を受けるにあたっても

注意が必要です。

治療を行うのであれば、比較的安全とされる妊娠安定期が望ましいですが、場合によっては応急処置に留めることもあります。母体・胎児への影響を考えて担当の先生とよく相談をしましょう。


●妊娠中の歯周病予防

歯周病予防には細菌の塊であるプラークの除去が必要です。

しかし、つわりなどで思うように歯磨きができない場合もあると思いますので、
無理のない範囲でケアを行いましょう。

 
 *歯磨きは一日のうちで体調の良い時間に行いましょう。

 小さめの歯ブラシを使用したり、歯磨き剤の香りが苦手な場合は何もつけずに磨きましょう。

 *どうしても磨けない場合は、うがい薬や水でブクブクうがいをしましょう

 *お口の中が乾燥していると、歯周病菌が繁殖しやすいのでこまめに水分を摂取するように

 しましょう。(糖分が含まれるジュースや炭酸飲料、カフェインが含まれるものは避けましょう)

 *普段の歯磨きだけでは除去できない汚れもあるため、体調が良い時に歯科

 医院でのクリーニングを受けましょう

また、出産後も育児に追われて歯磨きどころではなくなったり、身体の不調によって十分に歯磨きができないなど、生活環境の変化によって歯周病にかかりやすくなるため、妊娠中と同じようにケアをしっかり行いましょう!

投稿者: さっぽろプロケア歯科クリニック