歯科とタバコについて

こんにちは。札幌市南区にあります、ときわプロケア歯科クリニック 歯科医師の今多です。今回は、歯科とたばこについてお話したいと思います。  

現在、喫煙者の割合は年々減少傾向にあると言われています。ある調査では平成の30年間の間に約半数にまで減少したという報告もあります。近年では禁煙・分煙が進み喫煙できるスペースは限定されつつあります。とはいえ、患者さんを診ているとまだまだ喫煙している方は少なくはないなぁ、と言うのが正直な感想です。  では、喫煙(タバコ)は歯科とどのような関係にあるのでしょうか。タバコが全身の様々な病気の直接的な、あるいは間接的な原因となるのはすでに有名な話です。歯科に限った話だと歯周病、味覚障害、口腔がんがメジャーなところでしょうか。  タバコと歯周病との関係についてはすでに本ブログでも取り上げましたが、おさらいに。タバコの成分と言えば、タールとニコチンが有名かと思います。簡単に言うと、タールは歯に歯垢が付きやすい状態にし、ニコチンは歯肉の血流を悪くします。タバコはビタミンCの働きを阻害し、歯肉の合成を妨げるため歯肉の新陳代謝のスパンが健康な歯肉よりも長くなります。タバコをやめればすぐに健康な歯肉に戻るわけではありません。喫煙本数と期間にもよりますが、禁煙してから健康な歯肉に完全に戻るには数年~十数年かかると言われています。    タバコと味覚障害についてはどうでしょうか。味覚障害とは、舌の表面にある味蕾(みらい)という味を感じる組織が障害を受けて、味を感じにくい、まったく感じない、本来と異なる味に感じる、などの症状を呈する状態を指します。歯周病との関係の項でも述べましたが、ニコチンは血流を悪くする作用があります。血流が悪くなれば炎症も起こりやすくなるのですが、これが味蕾にも起こっていると考えてください。また、喫煙によって消化管の粘膜にも炎症が起こります。胸やけ・胃もたれに似た感覚を感じる状態で食事を摂ったとして、味を楽しむ人はいるでしょうか。このように直接・間接的にタバコによって味覚障害が惹き起こされます。  最後にタバコと口腔がんについて。すでにお話しているニコチンやタールが、口腔内の粘膜の細胞のDNAを損傷します。通常損傷されたDNAは正常に回復されますが、損傷と回復を繰り返す間に、正常に回復されない細胞が出現します。細胞ががん化する、と良く言われますね。実は口腔がんは、先進国の中で日本だけ罹患率や死亡率が増加しています。口腔がんは皮膚がんと同じく目に見える場所にできるがんです。どちらも日本で年間15000人程度がり患しますが、死亡率は口腔がんで46.1%、皮膚がんで10.3%です。そんな口腔がんは早期発見できればごくわずかな範囲の切除で済んだり、放射線療法で治る場合もあります。しかし発見が遅れると、例えば舌の半分であったり、顎の半分を骨ごとであったり広範囲に切除しなければならないこともあります。タバコは、そんな恐ろしい口腔がんのリスク因子の一つなのです。   いかがでしたか。タバコは嗜好品として世界中で親しまれてはいます。しかし、歯科に限らず様ざまな病気のリスク因子でもあります。歯科医師として健口を守る立場で考えると、個人的にはタバコの需要は減少していってほしいところです。それではまた次回です!レッツビー歯ッピー!