こんにちは。札幌市南区にあります、ときわプロケア歯科クリニック 歯科医師の今多です。今回は、セレックについてお話したいと思います。
セレックというのはセラミックによる歯の治療方法の一つです。正しくは、セレックシステムを用いたオールセラミックス治療というべきかもしれませんが、私たちはこの治療法を愛着や信頼をもって、セレックと呼んでいます。
セレックには様々な特徴があります。代表的なものと言えば、
- 高品質なセラミックブロックを使っている
- 従来の型どりを必要としない
- 1日で治療を終えられる
- 歯と修復物が一体化する接着技術
これらが挙げられるでしょう(ほかにもいろいろあるのですが…)。
では、一つずつ見ていきましょう。
- 高品質なセラミックブロックを使っている
セレックでは、修復物を高品質なセラミックブロック(下図)を用いて作ります。このブロックは、気泡や異物の混入が極力起こらないよう高度に制御された工場で作られています。従来のセラミックの修復物は歯科技工士が手作業で積み上げており、気泡や異物の混入はどんなに気を付けても避けられないことでした。混入と言っても、歯科技工士の職人の技によって成されたものですから目で見えないようなレベルのものです。しかし、そのごく僅か、目に見えない気泡の混入が弱点となりひび割れの起点となってしまうことが現場では問題となっていました。高品質なセラミックブロックは、この問題点を解決したのです。さらに、より歯に硬さを近づけることで、噛みあう相手の歯にも優しい素材となっています。

- 従来の型どりを必要としない
セレックでは、歯科医師が削った歯をカメラ(下図上)で撮影します。従来は歯型を採って、石膏で模型をつくる必要がありました。しかし、セレックは歯科用CAD/CAM機器という分類に入り、カメラで撮ったデータをコンピュータ上に再現(下図中央)し、コンピュータ上で修復物を設計します。設計されたデータはブロックを削り出す機械(ミリングマシン:下図下と言います)に出力され、1.でも触れたセレックブロックから修復物が出来上がります。セレックは上記のようにカメラで歯を撮影するだけなので、従来の型どりよりも圧倒的に短時間で済みます。なおかつ、お口の中に異物が入ると吐き気を催しやすい人にも優しいシステムです。



3.1日で治療を終えられる
セレックの魅力は、一日で虫歯の治療を終えられるケースが多いということでしょう。従来の方法では、型どりが必要な歯の治療の場合は歯科医院に2回来院せねばなりません。歯科医院から技工所に模型を送って作ってもらい、完成した修復物を送ってもらうので、型どりをした次の日に修復物を着けるというわけにもいきません。それが、セレックで1本の歯を治療する場合はどうでしょう。歯科医師が歯を削ってカメラで撮影するのに凡そ30分。院内技工士がコンピュータ上で設計し、ミリングマシンが削り出した修復物を技工士がピカピカに磨き上げるのに凡そ30分。歯科医師ができた修復物をお口の中で調整し、セットするのに凡そ30分。約90分で治療が終わってしまいます!しかも、間の30分は椅子から降りて待合室で本を読んだり優雅にお待ちいただけます。コロナの昨今では、お車でお待ちいただくこともできます。
- 歯と修復物が一体化する接着技術
セレックを含めオールセラミック治療では、修復物を歯に着ける時に接着という手法を用いています。従来の銀歯とは歯に着ける材料や方法(銀歯の場合は合着と言います)が異なるのです。銀歯の場合は、どうしても歯と修復物との間に段差ができてしまったり、経年的に隙間ができてしまっていました。金属と歯、その間を取り持つ歯科用合着セメントという材料は化学的にくっつかないからです。しかし、セレックは歯科用接着セメントと、歯科用接着セメントは歯とそれぞれが化学的にくっつきます。したがって、銀歯の時のような段差や隙間ができることが基本的にありません。銀歯で問題になるのは歯との間にできた隙間に虫歯菌が入り込んで発生する二次虫歯でした。しかし、セレックは虫歯菌の入り込む余地が無いので二次虫歯は発生しません。事実、様々な理由で残念ながらセレックを外さなければならなかったケースでも、セレックと歯の間が虫歯になっていたケースは私は1例も見たことがありません。
いかがでしたか。セレックにはこの他にも様々な魅力がありますが、今回はこの辺りにしておきましょう。当院は予防歯科を推進しています。セレックは歯の治療なので一見予防とは関係ないように思えます。しかし、これまでにお話ししてきたように丈夫な品質や接着による歯との一体化は、今後二次虫歯などで再治療になる可能性をぐ~んと抑えてくれます。歯の治療であり、長い目でみると予防でもあると私は思っています。事実、そのようなお考えで銀歯を全てセレックにやり替える患者様も多数いらっしゃいます。残念ながら保険治療の範疇ではありませんが、興味のある方は是非お近くのスタッフまでお声がけください。
それではまた次回です!レッツビー歯ッピー!!